1.まず「資産」ではなく「純資産」を見る
資産形成を考えるとき、
「貯金が500万円ある」
「投資信託が1,000万円ある」
という話をしがちです。
でも、本当に見るべき数字は純資産です。
純資産とは簡単に言えば、
持っているもの − 借りているもの
です。
例えば、
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 現金 | 300万円 |
| 株式・投資信託 | 1,000万円 |
| その他の金融資産 | 200万円 |
| 総資産 | 1,500万円 |
| 住宅ローン | ▲800万円 |
| 純資産 | 700万円 |
この場合、
「資産1,500万円」
だけを見ると、かなり余裕があるように感じます。
しかし、借金を差し引くと、
本当の意味での自分の資産は700万円。
これが現在地です。
2.住宅ローンがあるなら「家を持っている=お金持ち」ではない
持ち家の場合はさらに注意が必要です。
例えば、
3,500万円の家を所有していて、
住宅ローンが2,500万円残っている。
この場合、
「3,500万円の家を持っている」
という事実だけでは、自分の資産が3,500万円あるとは言えません。
単純化すれば、
3,500万円 − 2,500万円 = 1,000万円
が住宅部分の純資産です。
もちろん実際の不動産価値は市場価格や売却費用なども考える必要があります。
だからこそ、
「資産総額」ではなく「純資産」
を見ることが大切です。
3.そして、もう一つ重要なのが「収支」
純資産だけを見ても十分ではありません。
次に確認するのが、
毎年いくらお金が増えているのか
です。
例えば、
年収500万円。
年間支出400万円。
すると、
年間収支は+100万円。
この100万円が、
- 貯金になる
- NISAなどで投資に回る
- 住宅ローンの返済に回る
ということになります。
逆に、
年収500万円でも年間支出520万円なら、
年間20万円ずつ資産が減っている
ことになります。
この状態で、
「どの株を買えば儲かりますか?」
と考えても、順番が逆です。
まず、
毎年お金が増える家計なのか、減る家計なのか
を知る必要があります。
4.「年収」より「年間いくら残るか」を見る
資産形成では、年収ばかりが注目されます。
しかし、重要なのは年収そのものではありません。
例えば、
Aさん
年収800万円
年間支出700万円
年間貯蓄100万円
Bさん
年収500万円
年間支出350万円
年間貯蓄150万円
この場合、年収はAさんの方が圧倒的に高い。
でも、
資産形成に回せるお金はBさんの方が多い。
もちろん税金や社会保険、家族構成などによって実際の数字は変わります。
それでも、
年収=資産形成能力ではない
ということは覚えておきたいところです。
見るべきなのは、
「自分はいくら稼いでいるか」だけではなく、「いくら残しているか」
です。
5.毎月の収支を知らないと、投資額も決められない
投資を始めると、
「毎月10万円投資しよう」
「NISAを満額使おう」
という話になりがちです。
でも、その前に確認したい。
本当に毎月10万円投資しても大丈夫なのか?
その答えを出すには、
毎月の収支を知らなければいけません。
例えば、
手取り35万円
生活費25万円
なら、
毎月10万円程度の余裕があります。
一方、
手取り35万円
生活費34万円
なら、
毎月10万円の投資は無理があります。
一時的にはできても、何かあったときに投資を取り崩す可能性があります。
だから、
投資額は「理想」ではなく「実際の収支」から決める。
これが基本です。
6.自分の「現在地」が分かると、目標までの距離が見える
純資産と収支が分かると、人生が少し変わります。
例えば、
純資産1,000万円。
年間200万円を資産形成に回している。
目標は3,000万円。
すると、
「あと2,000万円か」
と具体的に考えられるようになります。
さらに、
- 投資による資産成長
- 昇給
- 副業
- 支出削減
- ボーナス
などを考えることで、
「いつ頃、どこまで行けそうか」
というシミュレーションができます。
漠然とした不安が、
数字に変わる。
これは非常に大きいです。
7.資産形成は「地図なしで旅行する」のと似ている
自分の純資産を知らない。
毎月の収支も知らない。
それなのに、
「FIREしたい」
「1億円作りたい」
と言っても、目的地までの距離が分かりません。
これは、
現在地を知らずに旅行しているようなものです。
現在地が分かれば、
「あとどれくらい?」
「このペースでいい?」
「少し速度を上げる?」
と判断できます。
資産形成も同じです。
8.僕が重要だと思う「3つの数字」
資産形成を始めるなら、まずこの3つを毎月確認することをおすすめします。
① 純資産
今、自分はいくら持っているのか。
② 月間収支
毎月いくら残っているのか。
③ 年間入金額
1年間で資産形成にいくら追加できたのか。
この3つを見るだけでも、
自分の資産形成がかなり客観的に見えてきます。
9.さらに「資産の増減」と「入金」を分ける
ここから少し重要です。
例えば1年間で、
資産が300万円増えたとします。
「300万円増えた!」
と思うかもしれません。
でも、
自分で200万円入金して、
投資によって100万円増えた
のであれば、
資産形成の実力としては100万円の運用益+200万円の入金
です。
逆に、
ほとんど入金していないのに資産が300万円増えたのであれば、
運用による成長が大きかった
ということになります。
この違いを把握すると、
「自分は入金で資産を作っているのか」
「運用で増やせる段階に来たのか」
が分かります。
10.資産が増えると「お金の見え方」も変わる
資産形成を続けていると、ある時から変化が起きます。
最初の頃は、
「毎月いくら貯金できるか」
が重要です。
しかし資産が大きくなると、
「市場が1日でいくら動いたか」
の方が大きくなることがあります。
例えば、
1,000万円の資産が5%動けば50万円。
4,000万円なら200万円。
同じ5%でも、金額はまったく違います。
だからこそ資産が増えるほど、
入金力だけではなく、資産配分・リスク管理・暴落への耐性
が重要になってきます。
11.「自分の立ち位置を知る」と、無理な投資をしなくなる
これは個人的にかなり重要だと思っています。
自分の純資産が分からないと、
「もっと儲けないと」
という気持ちが強くなります。
すると、
- レバレッジをかける
- 集中投資する
- 急騰銘柄を追いかける
- 暴落でパニックになる
といった行動につながることがあります。
でも、
「自分は現在○○万円の純資産があり、年間○○万円を積み上げられている」
と分かっていれば、
無理をする必要があるのか冷静に考えられます。
12.最初にやるべきことは、証券口座を開くことではない
資産形成を始めようと思ったとき、
「どの証券会社がいい?」
「S&P500とオルカンどっち?」
「NISAは何を買えばいい?」
と考える人は多い。
もちろん投資先も重要です。
でも、その前にやることがあります。
紙でもExcelでもスマホでも構いません。
一度、
自分の財産を全部書き出してみる。
資産
- 現金
- 預金
- 株式
- 投資信託
- iDeCo
- 不動産
- その他
負債
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- その他借入
そして、
総資産 − 総負債 = 純資産
を計算する。
さらに、
年間収入 − 年間支出 = 年間収支
を出す。
まずはこれだけでいい。
13.数字を見ると「不安」が「課題」に変わる
お金の不安というのは、
正体が分からないから大きくなります。
「老後が不安」
「教育費が不安」
「会社を辞められない」
「もっと投資しないといけない」
こうした不安を、
数字に落としてみる。
すると、
「思ったより大丈夫だった」
ということもあります。
逆に、
「このままだとまずい」
と分かることもあります。
でも、それも悪いことではありません。
問題が見えれば、対策できるからです。
14.資産形成のスタートラインは「現在地を知ること」
僕は、資産形成というと、
「節約する」
「投資する」
「収入を増やす」
という話が中心になりがちだと思っています。
でも、その前にあるものがあります。
自分の現在地を知ること。
純資産はいくらなのか。
毎月いくら残るのか。
年間でいくら資産形成に回せるのか。
この数字が分かれば、
「自分は今どこにいるのか」
が見えてきます。
そして現在地が分かれば、
次に何をすればいいのか
も見えてきます。
まとめ
資産形成で最初にやるべきことは、難しい投資を始めることではありません。
まずは、
自分の立ち位置を知る。
そして、
① 純資産を把握する
② 毎月の収支を把握する
③ 年間でいくら資産形成できているか確認する
この3つを定期的に確認する。
その上で、
「支出を減らすのか」
「収入を増やすのか」
「投資額を増やすのか」
「リスクを下げるのか」
を決めていけばいい。
資産形成は、他人との競争ではありません。
SNSを見ると、
「資産1億円」
「FIRE達成」
「年間配当○百万円」
といった数字が目に入ります。
でも、本当に重要なのは、
他人がどこにいるかではなく、自分がどこにいるか。
そして、
去年より自分の立ち位置が良くなっているか。
そこを確認することです。
現在地が分からなければ、目的地までの距離も分からない。
だから資産形成の第一歩は、「自分の立ち位置を知ること」。
会社に依存しない人生を作るためにも、まずは自分のお金を数字で把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。